[コラム] 雨の日も里山三昧
第2回 『映像詩里山 覚えていますかふるさとの風景』
先月号から、NORAお勧めの本や映像を紹介するコラムを書き始めました。その第1回では、里山保全を考える上での古典ともいうべき守山弘『自然を守るとはどういうことか』(農文協、1988年)を取り上げました。この本は、かつてはありふれていた里山が原生自然に劣らず守られるべきであることを学術的に示し、里山保全の歴史上とても重要な貢献をしました。その後、身近な里山を保全しようとする動きは着々と全国に拡がり、市民活動としてのうねりも大きくなっていきました。しかし、「里山」という言葉が広く国民に広く知られるようになったのは、1999年にNHKスペシャルで『映像詩里山』の第1弾が放映されてからでしょう。
田んぼ、小川、ため池、雑木林などが点在し、1つのまとまりのある景観を作りだしている里山は、人びとが長い年月をかけて作り上げてきた暮らしの場です。そして、多くの生きものたちのにぎわいを育んできた自然でもあります。
この映像では、写真家の今森光彦氏が琵琶湖畔の里山を1年間定点取材したことにより、人びとと自然との深くて豊かな関係が見事に描かれています。この後、NHKは継続的に取材を続け、2004年に第2弾『NHKスペシャル 映像詩 里山II 命めぐる水辺』(2004年)を、今年の9月には第3弾『映像詩 里山 森と人 響きあう命』(2008年)を放映しました。
『映像詩里山』の見逃せない影響力として、「里山」が雑木林だけを指すのではなく、田んぼや小川、伝統的な集落なども含んだ農村の景観を指す言葉として一般に定着したことがあります。
かつての農村では、ムラ(集落)-ノラ(耕地)-ヤマ(林野)が同心円を描くように広がる中で、田んぼ、畑、ため池、小川、草はら、屋敷林、竹林、雑木林などがモザイク状になって、多様でまとまりのある景観を作り上げていました。この空間構造のうち、環境省はヤマを指す言葉として「里山」を用い、ノラに対しては「里地」を用いて使い分けています。
ところが、NHKによって示された農村の映像は印象的で、「里山」と聞くと、人と自然が織りなす景観をイメージする人が多いようです。やはり、テレビの影響力は大きいですね。
余談ですが、里山のイメージを広く社会に伝えている映像として、『ザ!鉄腕!DASH!!』の1コーナーDASH村も重要です。このDASH村のむらづくりアドバイザーは守山弘さんで、里山博士として出演されたこともあります。日本でいち早く里山を守る必要性を訴えた守山先生は、20年経った今でも最前線に立って、里山のすばらしさを伝えていらっしゃるのです。
『映像詩里山』シリーズは、どの映像も甲乙付けがたい魅力がありますが、まずは導入として第1弾をご覧いただくのがよいでしょう。人と水のかかわりについては第2弾、人と森のかかわりについては第3弾の中で映し出されています。興味に応じてご覧ください。
第1弾と第2弾はDVDとして発売されていますし、おそらく近いうちに第3弾も発売されると思います。どれも未見という方には、この際すべてご覧になることをお勧めします。
(松村正治)
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