[コラム] いしだのおじさんの田園都市生活
第23回 田園都市生活2027
夏、朝は5時前に起きる。
水か茶を一杯飲んで、出かける。
レストハウスで自転車に乗り換える。
田んぼを見てまわる。
猛暑が続くが、早朝の田んぼまわりには気持ちいい空気。
早朝に限らずここにはいつでもそうだ。
ウォーキング、ジョギング、サイクリングの人たちと会釈。
雑木林があり、田んぼがあるから、
どんな・・・ングもグー!だ。
(と、年甲斐もなくダジャレ)
田んぼの様子を確かめる。
気にかけている田んぼが多数。
耕作している人たちを思いながら見てまわるのは楽しい。
気になることがあると、カメラで記録。
その日のうちに耕作をする人にアドバイス、
いや、稲の生長をよろこび、楽しみの共有がイチバンだ。
畑に行く。
夏の朝は収穫。
だが、私のとるのは自分とその周囲の数人が食べる分くらいで、
畑全体から見ればとったかとっていないか分からないくらいの量。
6時ころには収穫部隊がやってくる。
主役は若い衆。
彼らを待ち受けるのは毎日大量の収穫だ。
そう、「仲間たち」なんて言い方もしているが、
「障害」「福祉」の人たちもいる。
若い衆、仲間たち、
そして地域のみなさんが耕作している田畑を見回る私の朝。
今から20年ほど前、50歳になるころ夢見た朝。
収穫された野菜は、順次レストハウスの直売所に並んでいく。
しかし、収穫体験のためにあえて畑に残される野菜もある。
いろんな収穫体験がある。
汗まみれ泥まみれになって援農しながら収穫をする人。
自分が食べるサラダの野菜だけをつまむオシャレな人。
田の草取り → 収穫、→ シャワー → 野菜をつまみながらビール、という人。
それぞれだ。
それぞれのスタイルで農にかかわり、緑を愛でる。
そんな人たちがまわりにたくさんいること。
これも20年前に夢見たことだ。
昨日の私は夕方から準備をして、草刈りをした。
畑と田んぼの周りがスッキリして、気分が良かった。
これくらいの作業は残してもらっている。
あまりに出番が少ないとボケちゃうからね。
出過ぎない程度に活躍の場ももらっている。
若いころから好きだった刈り払い機を。
鎌と砥石もいっしょに車に常備している。
今年初めての猛暑日だったが、
田んぼを渡ってくる風は涼しくて、
鼻歌を歌いながら刈り払い機を振り回し、
ほどほどに汗もかいて、気分もスッキリ。
その間に大勢の人と挨拶をした。
名前を知っている人、顔だけは知っている人、
知らない、見かけた記憶のない人もここではみんな挨拶をする。
いい汗をかいて帰宅し、野菜をアテに晩酌。
トマトやキュウリはもちろんだが、
トウモロコシもオクラも生でかじる。
ナス、ピーマン、ズッキーニを網焼き、
ポン酢や自家製味噌ドレッシングであえる。
ジャガイモ、ニンジン、玉ネギはバターで蒸し焼き、
魚介や肉も少し食べる。
糠漬け、自家製納豆・・・
酒も仲間と仕込んだもの。
呑むヨロコビと土とつながっているヨロコビ、
静かにヨロコビが染み込んでいく晩酌。
若い頃のように飲み過ぎることもなく、
肉を欲することもなく、静かに気持ちいい。
若い頃のカナシミを浄化していくような静謐な夜。
週に数回は訪ねてくる客人と呑む。
自宅であったり、レストハウスであったり・・・
若い衆は、ま、「報・連・相」ということだ。
そういえば、最近あまり気にしなくなった。
以前は、若い衆が好きなことをやれているか、
声や顔に張りがあるかをそれとなくチェックし、
場合によっては組織内で手を回したりもしていた。
だが、最近ではそういう気遣いも不要なようだ。
同年輩や先輩は定年後に帰農した仲間。
「帰農」といっても、農業で生計を立てているわけではない。
田畑よりもゴルフや旅行という人も多い。
それはそれぞれで、ゆるやかに個々のペースを大事にしている。
生活の根底に農があり、
それも自らの食を支えるための農である。
そして、それが若い衆たちの農と上手にかかわり、
さりげなく助け合うコミュニティになっている。
昼食はレストハウス。
50人程が入れる食堂。
厨房はゆったりしており、大勢で楽しんで調理をしている。
もちろん、目の前や周囲で収穫された農産物が主役の料理だ。
自給的ランチ。
食堂の周囲は畑。
畑が食堂を取り囲んでいるともいえる。
食堂で出される料理は畑とつながっている。
そして、食堂は畑につながっている。
ランチを持って畑に出ることもできる。
畑のそこここにオープンカフェのような場がある。
ハンモックの木陰もある。
レストハウスはもともとこの畑と周囲の田畑で働く人たちのものだ。
暑いとき、寒いときに、ホッと一息入れてまた野良に出る。
昼食で心身にエネルギーを蓄え、また野良に出る。
そんな、野良仕事の人たち(野良人=のらんちゅう)ためのレストハウス。
しかし、それはお客さんのための場でもある。
野菜を買ったり、食事やお茶をしたり・・・
そして、そのお客さんたちのなかには自ら野良仕事に加わる人も多い。
収穫体験、草取りの援農・・・などなど、
そのうちお客さんと野良人に境目がなくなってくる。
お客さんたちがグループを作り、
援農の延長として、自給用の田畑を耕作している。
いしだのおじさんはいろんなところに顔を出し、元気だ。
田園都市生活はつづく・・・
(いしだのおじさん)
定点観察もつづいていますよ。20100718
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